これでいいのか 受験産業化した塾

教科の専門外による指導

 数学教育は、本質と理論を体系的に捕らえた、実践的なものであって欲しい。教育は、原則的にその教科のプロが指導にあたるべきだ。だが、現在の塾業界は、必ずしも教科の専門家が担当している訳ではない。高度な純粋数学の本質と理論を追求する理学部数学科出身者と、小学生と中学生の指導技術が中心である教育学部の数学科出身者とでは、数学の指導法が異なる。
 また、理論より公式の使い方を重視して、量的発想で指導しがちな工学部出身者、さらには丸暗記方式の指導法に陥りやすい文系出身者等による数学指導とは、さらに大きく指導法が異なる。数学教育は、高校受験、大学受験は勿論のこと、社会人教育まで考えたものであるべきだ


→数学の指導は、理学部数学科出身のプロにまかせて欲しい

目先の点数=内申書アップ
 受験の際、点数=内申書アップは確かに必要だ。現在の神奈川方式の受験システムでは、特に内申書が大切であることは言うまでもない。
 しかし、そのための詰め込み方式やテスト形式の塾業界の教育方法は、教育の本来あるべき姿ではない。これでは生徒教育の鶏のブロイラー化になってしまう。教科書の狭い範囲を繰り返し行えば、内申書の点数は上げやすい。しかし、塾業界の中学数学教育では、高校での成績伸び率は鈍るはずだ。すなわち、内申書は良いが実力はない。結局、目先の高校入試で仮に結果が出ても、後の大学入試では結果が出しにくいのである。


→真の教育は、内申点だけではなく、人間教育である
学校名と合格者数を競う教育
 そのの塾が生徒を育てた結果の合格実績なら、合格者数を競うことも大切かもしれない。ところが、以下のような珍現象が起きてします。幾つかの塾の特定学校合格者数を塾ごとに合算すると、塾発表合格者数がその特定校の学生定員数を超えてしまうのである。と言うのは、一人の合格者が色々な塾の合格者に登録されているからだ。
 また、塾が育てた結果、生徒が合格したのか、もともと出来る生徒がチラシや特別奨学金制度等で集められた結果、合格者がその塾から多く出たのかを区別するのは難しい。真の教育には時間が掛かる。教育はインスタント的な張りものではなく、中身のある無垢でありたい。


→真の教育は、合格数を競う張ものではなく、時間が掛かる

経験不足のアルバイト学生
 一級教員免許をもつ経験豊富な真のプロが、経験不足のアルバイト学生を監督し、時には両者で指導する必要がある。
 そろばん10段の先生は、10段の指導方法を身に付けているから現在10段なのである。しかし、1段の先生は、1段レベルの指導法しか身につけていないから1段である。10段の先生の指導からは7、8段の生徒が育つ確率は高い。しかし、そろばん1段の先生の指導のもとでは7、8段の生徒は育ちにくい。ですから、教育はプロが中心になり、学生はその指導の基で行う必要がある


→プロの指導者と大学院生・大学生との両輪指導